親が亡くなる前に考えておくべき重要事項
高齢の親には、きっと何らかの健康不安はあり、ある日突然、深刻な状況に転換する事態が起きます。こういうときに備えるために、当時調べたこと、実際に必要だったこと、今改めてこうしておけばよかったと思うことなどを整理したリストを作成しました。専門家ごとに分野が偏ってしまいがちな市販本より実践的な内容になっています。ぜひ一通り目を通して頂いて、『いざという時のために保存しておく価値がある』と評価して活用していただけたら嬉しいです。また、親に話しづらい場合に、話題のきっかけにして頂き、必要な共通理解を深めるツールとしても活用していただければ幸いです。
時間的に先々の余裕がある段階で備える
①一緒に一日過ごしてみる
②好きな食べ物、嫌いな食べ物、アレルギーの有無を聞いておく
③どんな終末期を過ごしたいか、どこで最期を迎えたいか、聞いておく。
※ 高齢者の全国意識調査で、『延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい』と答えた人は9割超とのこと。 しかし親の意思をよく認識していない家族は『できる限りあらゆる治療をしてください!お願いします!』と言う場合が圧倒的に多いのだろうと思います。自宅で亡くなる方は1割、病院で亡くなる方は7割だそうです。
高齢社会白書に紹介されている「高齢者の健康に関する意識調査」では、最後を迎えたい場所は『自宅』が5割強、『病院等医療機関』2割強。『少しでも延命できるよう、あらゆる医療をして欲しい』と答えた人は4.7%。『延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい』と答えた人は91.9%。
内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年)対象は全国55歳以上の男女。
④入院した場合の、延命治療の希望の有無を聞いておく。☆できるだけ複数で、深く、しっかり聞くことをお勧めします☆
⑤終活・エンディングノートを書くことを勧める。
⑥美術品や貴金属など高額なものは、売ってお金に換えてもらったほうが良い。
⑦意思表示能力が失われる場合などに備えて、家族信託など、利用できそうな制度を調べて、話してみる。
入院・介護等が具体的になりそうな場合の実践的な準備
①健康保険証(後期高齢者医療被保険者証、後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証の有無の確認)
②介護保険被保険者証(要介護認定証の有無の確認)、介護保険負担限度額認定証
③病院の診券、お薬手帳、服薬中の薬
④病歴を確認してメモにしておく
⑤入院に必要なものの準備セットを作っておく
⑥入院を知らせたい人を確認する(知らせたくない人も確認)
⑦両親相互、子どもたちなどで、誰がどの程度、面倒を見る気があるか確認する
⑧延命治療について、改めて意思を確認する。出来るだけ複数人で確認する。
〇介護が必要になったとき、どこに住むかを話し合う。
①入院する病院に医療ソーシャルワーカー(MSW)等が配置されている場合は必ず相談する。
②地域包括支援センターに行って、話しを聞いてみる。
○お金の準備は最も大事で、最も難しい場合が多いかもしれません。
実の子供に対してであっても、なかなか自分の資産の全貌を教える気にはならない、という考えの親は多いと思われます。親が話を渋る場合は、自分で洗い出しリストを作るよう促してみてください。なんらか急に具合が悪くなり、意思表示能力が失われる可能性があります。そういう場合に備える必要があることなどを伝え、また、家族信託制度などを調べて話題にしてみることも、効果があるかもしれません。しかし、いずれにせよ、以下のことはいずれ必要になることを明確に伝えてください。
お金に関する実践的な準備
①電気、ガス、上下水道、スマホ・光回線等通信費、新聞、NHK、クレジットカードの引き落とし口座を確認する。
②各金融機関の口座情報、暗証番号を確認する。特に年金の入金口座は重要。
③年金手帳等の年金の権利、支給状況等の書類の所在を確認する。
④加入保険の種類、契約者、受取人、契約条件等を確認する。
⑤住宅ローンや借金の有無を確認する。
⑥実家その他所有不動産の権利証、住宅の契約書の所在を確認し、所有形態や名義などを確認する。
⑦株券や貸金庫の有無その他の資産を確認する。
⑧必要に応じて、遺言書等で、親の意思を明確にしてもらうようにする。
お墓、お葬式について話題にする
①菩提寺、お墓の場所、継承者を確認する。お墓に関する希望があるか、確認する。
②葬式について希望があるか、確認する。状況によっては事前に業者の話しを聞いてみる。
③亡くなったときに、知らせて欲しい人、知らせて欲しくない人を聞いておく。
④夫婦間、家族間等で楽しかったこと、印象に残っていることを聞いておく
⑤仕事で、楽しかったこと、印象に残っていることを聞いておく
相続について話題にする
・相続手続きを開始するにあたって、まず最初にやる必要があることは、相続人となる可能性のある人を全て洗い出す調査をすることです。それが確認できなければ、いつまでも相続は確定できません。
・亡くなった親の、出生時から死亡時までの戸籍を全部取り寄せて相続人を確定させる必要があります。親が、地方で生まれて、その後回本籍地を移動しているような場合は、取り寄せる作業も大変になります。そのため、費用は数十万円かかりますが、司法書士や行政書士などの専門家に依頼するケースが多いと思います。
〇家族信託、高齢者向け住宅のことなど補足が必要な内容については、今後、解説記事を追加します。