親が亡くなった時にするべきこと【直後編】
親が亡くなったときにすること、誰かが教えてくれるか
親が亡くなった時にやらなくてはならないことは次々出てきて、錯綜、混乱してしまうほどの状況になります。病院や施設で亡くなった場合は、病院等の人が初期にやるべきことをやってくれたり、当座するべきことを教えてもらえるケースが多いと思います。家で亡くなった場合も、日ごろお世話になっている在宅看護、介護の看護師さんやヘルパーさんを呼んで家に来てもらうと、病院同様にやってくれたり、教えてくれるケースが多いと思います。
その後は、お願いする葬儀屋さんを決めると、葬儀屋さんがいろいろ進めてくれて、するべきことを教えてもらえることになると思います。多くの方がそうやって、不慣れなことでもなんとか、しっかりとした対応ができてきました。
ただし、病院の人、葬儀屋さんがやってくれること、教えてくれることはケースバイケースです。運悪く、残念な内容に・・・ということもあり得ます。
したがって、必要なことを、大まかにでも、自分であらかじめ理解していると、混乱することもなく、余裕をもって適切な対応を考えることができて、そのほうがきっと望ましいはずです。そこで今回は、自分の経験を踏まえた必須の知識を、できるだけ端的に簡潔に記載します。検索上位に出てくる専門家系とは一味違う、リアルに役立つノウハウとなるよう考えました。参考になれば幸いです。
末期の水をとる
①臨終に立ち会ったら、「末後の水をとる」という儀式をすることが一般的です。水を含んだ脱脂綿を故人の唇に当てて、のどを潤し安らかな旅立ちを願うといった趣旨の行為で、仏教系の儀式ですが、広く一般的な儀式と認識されているようです。臨終の場面では、そういう場に慣れている医師や看護師さん等が一緒にいた場合は、やり方を教えてくれたり、業務の一環としてやってくれたりすることもあります。
死亡診断書を作成してもらう
②医師に死亡診断書(又は死体検案書)を作成してもらいます。この用紙は所定のものがあります。通常の場合、役所に提出する死亡届と一体となっていて、用紙の左側半分が死亡届になっています。
医師が用紙の右側の死亡診断書(死体検案書)を書いてくれるので、その書類を受け取ってください。その後、今度は自分たち遺族が左側の死亡届欄に必要事項を書きこんで、役所に提出します。
そのときは、火葬許可申請書も書いて一緒に出すのが効率的なので、まず葬儀会社を決めて、火葬場の火葬場の場所や日程が決まってから、上記死亡届を提出しに役所に行きます。役所がそれらを受理すると、申請者に火葬許可証(火葬後は埋葬許可証の役割も果たす)を交付してくれます。葬式が終わって火葬をするとき、申請者(あなた)が許可証を持っていって火葬場の職員に渡さなければなりませんから、いろいろなことがあって混乱する中であっても、この書類のことを忘れないよう、よく留意して保持しておいてください。
なお、死亡届・死亡診断書は、役所に提出する前に、必ずコピーを複数とっておいてください。このあと、保険関係や各種給付を受けるための申請時に、また職場での慶弔休暇の証拠書類など、いろいろな手続きの場面で、この書類の提示を求められることが何度もあります。
家で亡くなった場合は
③家で亡くなった場合の、診断書、遺体の清拭・搬送・安置。
「終末期、亡くなるまで自宅で過ごしたい」という希望を意識調査で回答する人は7割以上だそうです。しかしその一方で、現実には7割以上の方が病院で亡くなっています。あとは施設等で亡くなる方も2割くらい、とのことですので、在宅療養等で、自分の家で亡くなる方は、(希望者は7割程度いるはずなのに)ほんの1割程度だそうです。
在宅療養中に急に具合が悪くなったとき、親族は、救急車を呼び、具合が悪い人は病院や施設にお任せしたくなるのが人情ですね。その結果、7割以上の人は自宅で死にたいと思っているけど、9割以上の人が病院や施設で臨終を迎えることになるのだと思います。
ご本人の「終末期」の考え方等について、あらかじめ意思疎通をしておくことを強くお勧めします。ご本人は「救急車で運ばれ、治療を受ければ、1日2日寿命が延びるのか、1か月2カ月先になるのかわからないけど、自分らしく生きられないような状況で、自分の死期を伸ばすために、多くの医療関係者の方々に懸命に治療して頂く、そういうことは今の状況の自分にはもう必要ないと思っている。多少苦しんでも、死期が早まっても、救急車は呼ばなくていい。」と達観しているかもしれません。よく確認してください。
さて本題の「やるべきこと」ですが、病院等で亡くなると、病院等が業務の流れで④死亡診断書等必要なことを用意し、また教えてくれると思います。しかし、あなたの親が、在宅療養中等に自宅で亡くなったときは、あなた方親族が、自力で手配をしなければなりません。まず、日ごろから診察して頂いていた医師等にお願いして自宅に来て頂いて、④死亡診断書を作成してもらう段どりを進めます。
同時に、④遺体の清拭・搬送・安置についての手配が必要です。 遺体の清拭は、病院や在宅看護の看護師さん等が必要最小限を一定程度やってくれる場合が多いのではないかと思われます。
葬儀会社を決める
⑤葬儀会社は早々に決めて、葬儀会社の手配に頼ったほうが良いと思います。遺体の搬送・安置の方法等を決めるには、葬儀の日取り、会場等も相互に関連するので、このあたりから葬儀会社の人が話をリードするようになるのが一般的ではないかと思われます。
ちなみにうちの場合、終末期の父は、自宅で死ぬことを希望して退院し、ある夜、寝ている間に苦しむ様子も見せずに亡くなりました。朝、家族が気付いて、その後ちょうど在宅看護の契約をしている会社の看護師さんが定時の訪問看護で来てくれたので、そのまま「末後の水」をリードしてくれ、医師への連絡・手配、事務所から応援の人も来てもらって「遺体の清拭」などを業務の一環としてやってくれました。当時、自分では調べてもなくて、知らなかったことを、在宅看護の方々がしてくれたので、とても助かりました。
⑥葬儀会社を決めると、葬儀会社の人が主体となっていろいろ手配したり、教えてくれたりしますので、葬儀会社の選択はとても重要なポイントだと思います。宗教など葬儀の方法、日取り、会場等について、故人の意向や、ご家族のお考えなどによってさまざまな選択があるので、それによって葬儀会社の選び方のポイントもそれぞれになるだろうと思います。葬儀についても、いずれ記事を書きますが、今回は、【直後編】として、亡くなった直後に当面やるべきことをまとめました。また順次、続きを用意したいと思います。